大岡越前7 捕方(与力・同心・岡っ引き)たちの捕物道具

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大岡越前7は捕物時代劇

時代劇の「捕物シーン」について

「大岡越前7」のような町奉行を主人公とする時代劇の見せ場の1つと言えば、なんと言っても盗賊団や殺人などの凶悪犯を捕縛する、いわゆる「捕物(とりもの)」のシーンでしょう。

大勢の与力・同心岡っ引き・下っ引き、ときには町奉行本人が犯行現場に一斉に出張ってきて、悪党どもを一人も逃すことなく、検挙していく場面は、視聴者にとって胸がすく思いがします。

刀や槍を用いない同心・与力たち

ただし、捕物のシーンは他の時代劇で見られるような「殺陣(たて)」とは異なります。なぜなら「正義の味方」である与力・同心たちは捕物のシーンでは、刀や槍などの相手を殺傷するための武器はほとんど用いず被疑者を捕縛していくからです。

そこで今回の記事では「大岡越前7」のような「捕物時代劇」で捕方たちはどのような道具を用いていたのか紹介します。

「捕物時代劇」で使われる捕物道具

1. 十手(じって)

与力・同心・岡っ引き・下っ引きなど捕方の象徴。制圧する相手を打つ、または犯人が刃物などを使って応戦した時に受け止める時に使います。

「大岡越前7」の第5回「夜の奉行」の捕物シーンを見ると、同心・与力をはじめとした捕方たちは、普段使いよりも長い身をした十手を使っていることが分かります。これは相手が長刀を用いることを想定して、切先の範囲に入ることなく距離を持って刀を受け止められるように、長い十手を用います。

2. 刺又(さすまた)

T字型の金属製の先端を持つ長柄の道具です。これは抵抗したり刃物を持って襲いかかろうとする相手の胸や胴体を押さえつけるために使用します。

刺又は相手との距離を保ちながら動きを封じることができるため、現代の警察でも使用されています

3. 突棒(つくぼう)

先端が「十字型」または「Y字型」に分かれた棒。押す・突く・引っ掛けるなどの用途で使用し、相手を転倒させたり、押しのけたりすることができます。

4. 袖搦(そでがらみ)

多数の棘(とげ)や鉤(かぎ)を持った棒で、相手の袖や衣服に絡めて動きを封じる道具。布地に絡みやすい構造になっており、直接身体を傷つけにくい。

5. 梯子(はしご)

梯子は、基本的には被疑者が高い壁に囲まれている建物に立て籠もっている時に、捕方が強行突入をするときに使われます。また捕方と複数の犯罪者が乱戦になっている時に、梯子を上から投げて相手の体を一時的に拘束することができます。

刀と火縄銃も使用された 殺傷を目的としない捕方の道具

捕物は犯人の「生け捕り」が鉄則

ここまで十手・ 刺又・突棒・袖搦・梯子と5つの捕物道具を紹介しました。これらの道具が町奉行や火付盗賊方改の出役で使われているのは、犯人を生け捕りにすることを重視しているからです。

江戸時代においても窃盗団や強盗などの凶悪事件の犯罪者は生け捕りが鉄則です。のちの取り調べや詮議において犯罪の動機や犯罪の背後関係、共犯者の有無などを聞き出す必要があります。

帯刀している刀は刃引きがされていた

それでも町奉行所や火付盗賊方改から犯罪現場に派遣される捕方のうち、同心・与力たちは武士です。彼らは武士の身分を表す刀を二本差しにして帯刀しています。

では同心・与力たちは、刀を持って襲いかかってくる凶悪犯には刀を抜いて応戦していたのでしょうか?確かに刀を持って死にもの狂いで立ち向かおうとする犯人には、彼らは刀で応戦していたかもしれません。

ただしこのときの同心や与力たちの刀には、刃引きの細工が施されていました。刃引きされた刀は相手に打撃を与えることができても、致命傷となる刀傷を負わせることはできなかったようです。あくまでも生け捕りが基本です。

もちろん、捕方に加勢する同心の手下(てか)の岡っ引きや下っ引きは、そもそも武士ではないためどんな凶悪犯に対しても刀は携帯しません。

犯人を威嚇するために用いられた火縄銃

意外と思わせるかもしれませんが、江戸時代の捕物には火縄銃が用いられることもあったようです。

「大岡越前7」では捕物シーンで火縄銃が用いられることはありませんが、NHKのBS時代劇「雲霧仁左衛門ファイナル」シリーズでは、火付盗賊方改・安部式部(國村隼)配下の堀十内(浜野謙太)という同心は、捕物の時に火縄銃を用います。

もちろん江戸時代の捕物として使われる火縄銃は、刀と同じく戦国時代の火縄銃と違って相手を殺傷することを目的とした武器ではありません。この火縄銃は犯罪者を威嚇をして足止めするための「道具」として用いられていたと考えられています。

現代の日本の警察において、警察官は拳銃の携帯を「警察官職務執行法 第7条(武器の使用)」と「警察官等拳銃使用及び取扱い規範(国家公安委員会規則)第5条」に法的根拠を求めることができます。しかしこれらの法律は決して犯人を殺傷することが目的ではありません。

江戸時代の町奉行所や火付盗賊方改が、犯人を制圧する時に火縄銃を用いたという史実は、現代の警察と同じ理由ですね。

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