あきない世傳金と銀2 力造(池田努)染物師 型染・小紋染め

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力造と型染・小紋染めの関係

あきない世傳金と銀2の力造とは

NHKBS/BSプレミアム4Kで2025年4月6日から放送される「あきない世傳(せいでん)金と銀2」の江戸編に登場する人物として、浅利陽介さんが扮する力造(りきぞう)という男性がいます。

力造は型染を得意とする染物師(そめものし)の職人で、五鈴屋七代目当主で主人公・幸(小芝風花)は力造に鈴の紋様が入った江戸紫の小紋染めを依頼します。

型染(かたぞめ)とは

型染とは、型紙(かたがみ)を使って模様を染める技法の総称です。布に防染糊(ぼうせんのり)を置き、その上から染料を塗ることで、型紙の形に沿った模様が染め上がります。

型染の特徴

  • 型紙を用いる:防染糊を置くための型紙を使う
  • 反復模様が作れる:同じ型紙を使えば、同じ模様を何度も繰り返し染めることが可能

小紋染め(こもんぞめ)とは

小紋染めとは、型紙を用いて小さな紋様を反物一面に染め抜いたものです。糊の置かれた部分だけ染め残され、白抜きの紋様となって現れます。

小紋染の反物は遠目には無地に見えますが、近寄って目を凝らすと菱・鮫などの非常に小さな柄が見えます。

特徴

  • 細かい模様が特徴:特に武士の裃(かみしも)に使われた「江戸小紋」は、遠目には無地に見えるほど細かい柄が特徴的
  • 型染の技法を用いる:小紋染めは基本的に型染の一種として行われる
  • 反復性が高い:同じ模様を繰り返して染めるため、統一感がある

小紋染めの染色工程

小紋染めの反物の販売を企画する幸

小紋染めは見た目には地味ですが、いかにも粋で江戸っ子の好みであることに目をつけ幸は、五鈴屋の「鈴」を繰り返した小紋染めの反物を販売することを企画します。

ただ小紋染めは、「あきない世傳(せいでん)金と銀2」の時代背景である江戸時代でもいくつもの複雑な工程がありました。以下ではその工程を説明します。

1. 図案制作(デザインの決定)

小紋染めの模様を決めるために、デザイン画(図案) を作成します。原作小説の「あきない世傳(せいでん)金と銀」(七)碧流篇では、「五鈴屋江戸店」の手代である賢輔が作画することが描写されています。

2. 型紙作り(伊勢型紙の制作)

図案を染めのための型紙に反映させるために伊勢型紙が用いられます。この伊勢型紙は主に伊勢国白子の職人によって作られます。型紙を作る手順は以下の通りです。

(1)渋紙(しぶがみ)の準備

型紙の素材となる「渋紙(しぶがみ)」を用意します。渋紙は和紙を何枚も重ねて柿渋を塗り、乾燥させたもの で高い耐久性があります。

原作小説の「あきない世傳(せいでん)金と銀」(七)碧流篇では、渋紙を六枚重ねにしているとあります。

(2)型彫り

渋紙に図案を転写し、「型彫師(かたほりし)」という職人が手作業で模様を彫ります。「あきない世傳(せいでん)金と銀」(七)碧流篇では梅松という名前の型彫師が登場します。

なお彫り方の技法には以下の4種類がある。

  1. 突彫(つきぼり) – 直線的な模様を針のような刃物で彫る。
  2. 錐彫(きりぼり) – 小さな点や丸を並べて模様を作る。
  3. 道具彫(どうぐぼり) – 型抜き用の道具で模様を繰り返し彫る。
  4. 縞彫(しまぼり) – 縞模様を作るための技法。

(3)糸入れ(補強作業)

細かい模様の型紙は、使用中に破れないようにするため、極細の絹糸を貼る作業が行われます(糸入れ)。これにより、型紙の強度が増し長持ちします。

3. 型付け(型紙を反物にセットする)

反物(長さ約12m)を張り、型紙を布に正確に配置します。型紙は繰り返し使用するため、模様がズレないように、型紙の位置を慎重に合わせます。

なおこの型付け以降の工程を行う職人のことを「型付師(かたつけし)」といい、力造が小紋染めの工程における「型付師」に相当します。

4. 防染糊(ぼうせんのり)の塗布

型紙の上から染料が染み込まないようにするために防染糊を塗る。防染糊はもち米の糊に塩や石灰を混ぜたものが使われる。

このとき職人がヘラを使い、均一な厚さで糊を塗るります。防染糊が乾くと、染料をのせても糊がついた部分は染まらず、模様が白く残る。

5. 染色(染めの工程)

防染糊が乾燥したら反物全体に染料を塗る(引き染め)。均一な色合いを出すために、刷毛やスポンジを使い、何度も染料を重ねます。グラデーションや色の濃淡 をつける場合は、調整しながら染めます。

なお染料の種類は草木染めや合成染料などがありますが、原作小説の「あきない世傳(せいでん)金と銀」(七)碧流篇で最初に用いられた染料は江戸紫の色が出る紫草です。

6. 糊落とし(水洗い)

染色が完了したら、防染糊を洗い流し(糊落とし)、次に40℃前後のぬるま湯で糊を溶かし、丁寧にすすぎます。この工程で、模様が白く際立つことになります。この水洗いの作業は「水元(みずもと)」とも言われます。

7. 仕上げ

反物を乾燥させ、湯のし(アイロン)で整えて、最終的な品質チェックを行い、反物として仕立て用に出荷されることになります。

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